遂にこの日がやってきました…。
 シナリオセンター 基礎科 最後の課題!!
 この半年、なんだかあっという間なような、でも中身があってそうでもないような、不思議な感覚です^p^

 最後の課題は「卒業」
 まさに俺が卒業するからですね!
 最後は「既成概念を捨てよう」みたいな事がちょろっと書いてありました。
 つまり卒業というと真っ先に思い浮かべるのは「学校」だけど、それ以外にも「卒業」はあるよ考えてみよう、みたいな?
 ざっと思い浮かべるだけでも、わりと色々あります。

 ・仕事(転職とか定年とか)
 ・恋愛(別れ)
 ・人(親等への依存、成人)
 ・習い事(今の俺とか)

 今回俺はホームドラマ系を書いてみたかったんで、自転車が乗れない男の子を使って見ました。
 書いてるうちに、なんとなく実彦(パパン)が佐々木蔵之介に思えてきて仕方がなかったぜ…。
 まったりした感じに仕上がってるといいなぁ\(^o^)/

 どうでもいいけど、春日って苗字、いいよね。





 めざせ!ピーメン!!

<登場人物>
 春日実彦(32)
 春日このは(29)
 春日祥吾(5)


○道
   雲ひとつない快晴。
   実彦、歩いて家に向かう。
   
○春日家・リビング
   このは、食器を洗ってる。
   カレンダー『5日(土)実彦帰宅(バツマーク)』
   カレンダー『26日(土)実彦帰宅』
   
○同・玄関
   ドアを開ける実彦。
実彦「ただいま」
祥吾「おかえり」
   走って来て実彦の足に抱きつく。
   このは、少し遅れて来る。
実彦「元気してたか」
   祥吾を抱き上げる実彦。
このは「無理して帰ってこなくても良かったのに」
実彦「そんな訳にいかないだろ。この間帰ってこれなかったし。それに」
   このはのお腹をさすって、
実彦「いるっていうし」
このは「うん。ありがと」
   と、嬉しそうに笑う。
   
○同・リビング
   実彦、祥吾を抱いたまま
実彦「昨日の台風、怖くなかったか?」
祥吾「うん」
このは「えー、ずぅっとママにくっついてたくせに」
   祥吾、実彦の肩に顔を埋める。
実彦「お兄ちゃんになるんだから、そんなんじゃダメだぞ」
   と、笑いながら祥吾を下ろす。
   祥吾、走ってテレビの所に行く。録画しておいたピーメンを見る。
   実彦、着替えに行く。
   テレビ『怪人が女性に襲いかかる。ピーメン登場。怪人と戦う』
   祥吾、ピーメンと一緒に戦っている。
実彦「なんだ、あのピーマン」
祥吾「ピーマンじゃないよ。ピーメンだよ」
実彦「ピーメン?」
祥吾「うん。ピーメンはピーマンを食べるとアクンダーと戦えるようになるの」
実彦「アクンダーねぇ。祥吾はどれが一番好きなんだ?」
祥吾「ピーメングリーン。すっごく強いんだ」
実彦「へぇ、じゃあ祥吾も強くならないとな」
   実彦、煙草を吸おうとするが、空。
   食器を片付けてるこのはに、
実彦「ちょっと煙草買ってくる」
祥吾「僕も行く」
   
○公園前
   実彦、煙草を吸いながら歩いてる。
祥吾「それでね、グリーンがね」
○公園内
   小学生達が自転車に乗ってピーメンごっこをしている。
   
○公園前
   小学生達を見つめる祥吾。
実彦「どした?」
   小学生達と祥吾を交互に見て、
実彦「お前もアレ欲しいのか?」
祥吾「うん、ピーメンバイクって言うんだ」
   実彦、祥吾と目線をあわせて、
実彦「でもあれはピーメンみたいに強い子しか乗れないんじゃないか?」
祥吾「嘘つきと弱虫は乗せてくれないんだよ」
実彦「祥吾は今より強い子になれるか?」
祥吾「うん、なる!」
実彦「よぉし、じゃあパパが買ってあげよう」
祥吾「ほんと?!」
実彦「でも1つだけパパのお願い聞いてくれるか?」
祥吾「なぁに?」
実彦「あれに乗れるようになって強くなったら、ママと弟を守ってくれないかな」
祥吾「ピーメンみたいに?」
実彦「そう、ピーメンみたいにだ」
祥吾「うん、任せてよ」
実彦「よしっ、パパと約束だぞ」
   祥吾を肩車して、
実彦「ではこれからピーメンバイク探しに出発します」
祥吾「わーい」
   
○春日家・玄関前
   新品の自転車に大喜びの祥吾。
このは「一言くらい相談してくれたらよかったのに」
実彦「ごめんごめん。勢いでつい…」
   軽く溜息をつき、仕方なさそうに、
このは「まぁそろそろとは思ってたし、いいんだけどね」
   自転車に跨がってる祥吾に、
このは「よしっ、じゃあ練習しに行こっか」
   
○公園
   実彦、祥吾、このは、公園に来る。
実彦「それでは、今から自転車学校を始めます!」
祥吾「はい!」
実彦「まずはヘルメットを装着!」
祥吾「はい!」
   このは、ベンチに座りその様子を見る。
   鞄から本を取り出して読み始める。
   
○同
   子供達がブランコしてる。
   
○同
   このは、本を読んでいると自転車が倒 れる音がする。
   祥吾、足を少しすりむいて号泣する。
   実彦、自転車を起こしながら、
実彦「大丈夫か?」
祥吾「いたーい」
   このは、祥吾の前にしゃがみ込む。
このは「どれ、ママが見てあげる」
   祥吾、このはに抱きついて泣く。
このは「これくらい大丈夫よ。祥ちゃんまだ練習できるよね」
   祥吾、泣きながら顔を横にふる。練習に戻る気配がない。
○春日家・リビング(夜)
   このは、テーブルに山盛りの青椒肉絲を置く。
   祥吾、目が赤く腫れている。
このは「じゃーん」
実彦「ちょっとピーマン多くないか?」
このは「今日は祥くんの力が出るように、ピーマン増し増しにしてみました」
祥吾「…いらない」
実彦「祥吾」
   祥吾、走って部屋から出てく。
   
○同・寝室
   祥吾、布団に倒れこむ。
   実彦、祥吾の横に座る。
実彦「…本当にもう練習しないのか?」
   祥吾、うつ伏せたまま頷く。
実彦「そっかぁ。残念だなぁ。パパ祥吾の格好いいトコ見たかったなぁ。あれ乗りこなせたら格好いいぞー?」
   祥吾、ちらっと実彦を見る。
実彦「ほら、おいで」
   祥吾を膝の上に座らせる。
実彦「いいか祥吾。最初は誰でも乗れないんだ。転ぶと痛いし、怖いかもしれない。でもそこを踏ん張れた子だけが、ピーメンバイクに認められるんだ。祥吾も認めてもらいたいだろ?」
   祥吾、弱々しく頷く。
実彦「だろう? だからもうちょっとだけ頑張ってみよう。な?」
祥吾「うん…」
実彦「それにパパと約束したろ? ピーメンみたいに強くなって、ママと弟を守るって」
   祥吾、実彦を見上げて、
祥吾「頑張ったらピーメンみたいになれる?」
実彦「なれるさ。お前なら格好いいピーメンになれる」
祥吾「じゃあ頑張る」
実彦「そうか、偉いぞ」
   祥吾の頭をぐりぐり撫でる。
   
○公園
   祥吾、実彦に自転車の後ろを持ってもらって練習している。
   転んでしまうが、泣くのを我慢して立ち上がる。
   
○同
   祥吾、ふらふらしながらも一人で自転車に乗れる。嬉しそうな顔。
実彦「よし! いいぞ! そのまま! 遠く見て遠く!」
   祥吾、倒れて転ぶ。
   
○同(夕方)
   祥吾、安定して乗れるようになる。
   ブレーキで止まって、振り返る。
祥吾「パパー! もう転ばないよ!」
   実彦、駆け寄って頭を撫でながら、
実彦「よくやったな、偉いぞ」
   祥吾、すごく嬉しそうに笑う。
実彦「もうパパの自転車学校は卒業だな。祥吾、手を出してみろ」
   祥吾、手を出すと顔写真入りの手作りの自転車免許証が置かれる。
   免許証『こうつうルールをまもります』
   6才の誕生日まで有効』
祥吾「うわぁ、パパありがとう!」
   嬉しそうに免許証を見つめる。






<講評>
 とても心温まるホームドラマが書けましたね。
 弱虫で泣き虫でピーマン嫌いの祥吾が生まれてくる弟とママを守るためにまず自転車にのって強くなるために頑張る、という鮮やかな「卒業」が書けています。
 単身赴任でたまにしか会えない実彦の祥吾への心のこもった接し方が良いです。

◎初登場の際は必ずフルネームと年齢を書いて下さい。シナリオの基本です。
◎課題12本お疲れ様でした。これからも基礎科で学んだことをベースにしてずっと書き続けて下さい。
 ご卒業おめでとうございます。





 これで基礎科が終わりました。
 やってみて思ったのは、今までゴチャゴチャとまとまらなかった話の組み立て方がちょっとスッキリかなってことです。
 何処をベースに考えるといいとか、台詞で分からせるんじゃなくて演技で分からせるとか。
 まぁ演技で分からせるというのは映像だからできることだけど、ボイドラでも適用されると思った次第です。
 全部台詞で言っちゃうのは、やっぱり陳腐になるし。
 視聴者に分かるよう、それでも陳腐にならないようにっていうのがこれからの課題ですね。
 ナレなし、説明台詞ナシで表現できるようになりたい。
 まだまだ技術も頭も足りないけど、楽しく書いていけたらいいな。

 本科もやる予定ではいます。
 ただすぐじゃないんで…今年中のいつかには^p^

 START : 2012.01.03
 E N D : 2012.06.02