やってきました9回目。
 今度は場所を特定した時の練習ですね。
 今回は「湖」
 湖だからこそ出来る演出やお話。
 …という事らしいんですが、ね。
 湖とかあんまり興味持ったことがなくてor2
 ウユニ塩湖くらいしか知りません(`・ω・´)

 一先ず調べてて「御神渡り」という現象を思い出したので、今回はそれを使ってみました。
 と言っても今回書いた中にはでてこないのですが/(^o^)\
 今回は多分今までで一番プロット書いて、色々と裏設定もあったりするんですが中々筆が進まず…結局シーンを変えて出だしの部分を書いてみました。
 吉と出るか凶と出るか…。
 いざ行かん、長野県は諏訪市の湖へ!





灰色狐のおみわたり

< 人 物 >

菊地塔子(39)
羊羹(15)人型の妖狐
おばちゃん(70)
田中洋二(63)フリーカメラマン


○諏訪湖(早朝)
   湖のほとりにログハウス調の古いペンションがある。
   看板『ペンション白樺』
   
○ペンション白樺・キッチン
   年季の入った調理器具。鍋からは湯気が立ち上り、お盆の上には緑輝くグリーンサラダ。トースターの中ではこんがりと分厚いトーストが焼けている。
   菊池塔子(39)、肌は乾燥し皺も目立ち疲れた感じ。ぱさついた長髪を1つにまとめ、割烹着を着ている。楽しそうにリズミカルにパセリを刻む。
   おばちゃん(70)、小太りで同じく割烹着姿。忙しなく食器を出したり片づけたりしてる。
おばちゃん「塔子ちゃん、それ出来たらテーブルセッティングしてもらえる?」
塔子「はい」
   手を洗って食器を手に取る。
   
○同・食堂(朝)
   塔子、テーブルセッティングをしてる。
   宿泊客が順番に降りてくる。
塔子「おはようございます」
   田中洋二(63)、髭面に眼鏡、ネルシャツポッケの多いジャケットを羽織ってる。眠そうに食堂にくる。
   塔子、オレンジジュースを注ぎながら、
塔子「おはようございます。眠そうですね」
洋二「うん。昨日遅くなっちゃって」
塔子「何かしてらしたんですか?」
洋二「ちょっとねぇ」
   おばちゃん、焼きたてのトーストを配りながら
おばちゃん「なに、また文献読んでたの?」
洋二「よく分かったね」
塔子「文献?」
おばちゃん「そうなの。この人カメラマンでね、毎年御神渡りを撮りにこの時期になるとウチにきてくれるの」
洋二「御神渡り、知ってる? 湖の氷にピシピシッとこう亀裂が入ってさ、そこの氷がぐわっ盛り上がるんだよ。それが湖のずーっと向こうまで続くんだよ」
   おばちゃん、洋二のテーブルにだけゆで卵とマヨネーズを置く。
洋二「おっ、きたきた(ゆで卵を食べながら)塔子ちゃんもあれは一回見たほうがいいよ。詳しく知りたかったら、そこのパンフにも書いてあるからさ」
   入り口に置いてある観光パンフを指す。
   ×  ×  ×
   塔子、片付けられたテーブルを拭いてる。パンフが目に入り、手に取り開く。
   パンフレット『諏訪湖の御神渡り。期間。年により1月~2月の間』
塔子「諏訪大社上社にいる男神が下社の女神の元へ行く時に出来るとされており、恋の道とされています…へぇ。前来た時は夏だったからなぁ」
   おばちゃん、割烹着を脱ぎながら入ってくる
おばちゃん「塔子ちゃん、もういいわよ。ありがとう」
塔子「あ、はい。他にすることありますか?」
おばちゃん「ううん、大丈夫。助かったわ。悪いわねぇ手伝わせちゃって」
塔子「いえ。置いてもらってるんですから、それくらいさせてください」
   おばちゃん、頷きながら微笑んで
おばちゃん「じゃあ山元さんの所行ってくるから。お留守番お願いできる?」
塔子「はい。いってらっしゃい」
   おばちゃん、出かける。
   
○同・裏
   山に面した裏庭。
   塔子、洗濯物を干している。
   木がガサガサと揺れ、ドサッと何かが落ちてくる。
   塔子、驚きつつ恐る恐る見に行く。
   羊羹(15)、灰色の髪で書生姿。紐タイプの眼鏡をかけている。木の上から落ち、腰を強打し悶えてる。
塔子「…大丈夫?」
羊羹「あ、はい。お構いなく…いてて」
   立ち上がろうとして腰を押さえる。
塔子「よかったら中で休んでって」
   塔子、羊羹を支えようと触る。
   羊羹、びくっとするがすぐに笑顔を取り繕う。
   
○ペンション白樺・食堂
   羊羹、椅子に座ってる。肩に力が入って緊張している。
   塔子、温かいお茶を持ってくる。
塔子「どうぞ」
羊羹「ありがとうございます」
塔子「座ってて大丈夫?」
羊羹「はい。頂きます(お茶を飲む) 美味しい…(ほっと肩の力が抜ける)」
塔子「そう? ありがとう(嬉しそうに笑って) なんか新鮮」
羊羹「え?」
塔子「いや、主婦やってるとね? 『美味しい』とか『ありがとう』なんて言われなくなっちゃうの。だからなんか嬉しくって」
羊羹「そうなんですか」
   塔子、羊羹をマジマジと見て、
塔子「それにしても…珍しい服着てるわね」
羊羹「え? (おどおどしながら)そうですかね…」
塔子「あ、私は菊地塔子。名前は?」
羊羹「羊羹って言います」
塔子「ようかん? 食べる羊羹?」
羊羹「そうです。お菓子の羊羹です」
塔子「(笑いながら)変わった名前」
   おばちゃん帰宅。大根やら白菜やら大きな鞄やら持ってる。
おばちゃん「ただいま」
塔子「おかえりなさい。私持ちます」
   塔子、荷物を受け取る。
おばちゃん「あら、お客さん?」
羊羹「(ガタッと立ち上がって)とおっ、お邪魔してますっ」
おばちゃん「丁度良かった。今お大福もらったのよ。食べていって、ね、ね」
羊羹「いえ、僕はそろそろ」
塔子「腰はもう大丈夫なの?」
羊羹「はい、ありがとうございました」
おばちゃん「もっとゆっくりしていったらいいのに。あ、じゃあコレ持ってって?」
   おばちゃん、袋から大福を2つ取り出し、羊羹に握らせる。
羊羹「…ありがとうございます」
   おばちゃん、にこにこと頷いて荷物をキッチンへ置きに行く。
   
○同・玄関
   羊羹、大福を手にドアへ向かう。
   塔子、見送る。
   立ち止まって振り向き、ためらいがちに、
羊羹「あの…また来てもいいですか」
塔子「もちろん。あ、早めだと嬉しいな。私いつまでここにいれるか分からないから」
羊羹「?」
塔子「なんていうかー…居候の身なの。色々あって」
羊羹「そうなんですか。じゃあ近いうちに必ず」
塔子「うん。待ってる」
   羊羹、微笑んで出ていく。
   
○諏訪湖のほとり
   塔子、羊羹、二人で散歩してる。
   羊羹は書生姿。
塔子「「今日も冷えるわねー」
羊羹「そうですねぇ。でも空気が澄んでて気持ちい」
   羊羹、冷たい空気を吸い込む。
   塔子、凍った湖を見ながら
塔子「ねぇ、御神渡りって知ってる?」
羊羹「ええ…まぁ」
   羊羹の表情が曇る。
塔子「神様の恋の道なんだってね。見れたら幸せになれるかな」
羊羹「(たどたどしく)なれるんじゃないですかね」
塔子「恋かぁ。(ぼそっと)見れたらあの人もマシになるかしら」
羊羹「塔子さん?」
塔子「ん? ううん。なんでも。羊羹くんは好きな人とかいないの?」
羊羹「僕ですか?! (顔を真赤にしながら)いませんよ、そんな人」
塔子「(にやりと笑って)いるなー? なに、誰なの。教えなさいよ」
羊羹「え、いや…(もじもじしながら)…誰にもいいません?」
塔子「言わない」
羊羹「えと…湖の反対側にも神社があるんですけど…そこの…その…」
塔子「バイトの巫女さんとか!」
羊羹「あ、はい。そんな感じです」
塔子「そんな感じってなによ。可愛いの」
羊羹「ええ…(顔をそらす)」
塔子「へぇ、そうなんだ。告白は?」
羊羹「告白なんて! そんなとんでもない」
塔子「何言ってるのよ。男の子でしょ?」
羊羹「でも…僕なんて恐れ多くて…」
塔子「ダメよ。しっかりしなきゃ」
   羊羹の背中をバシッと叩く。
   羊羹、苦笑。
塔子「若いっていいわねー。あたしなんてもうオバサンだから。羨ましいわーホント」
   塔子、寂しそうに湖に目をやる。
塔子「(ぼそっと)ホント、羨ましい」






<講評>(先生が達筆な為、解読しながら書いてます(´・ω・))

 「御神渡り」伝説を元にしているような物語の一片はとてもよく描けていました。
 20枚シナリオの場合、できれば前置きは省略して、御神渡りが出来てどんな物語(エピソード)とになるのか、見せ場を描くといいですよ。
 狐の恋がメインテーマなら「ラブシーン」を描きましょう。
 例えば、魅力的な人物は「羊かん」なので、狐からどう羊かんに変貌するのか。何を目的に塔子に近づくのかが伝わる、もっと先を中心に描いたらどうか。
 設定はとても面白い。
 主人公(人物たち)が最も輝き魅力的になる場面を描く練習をして欲しいですね。





 人物がもっとも輝き魅力的になるシーン!
 そう言えば前にもこれ言われた気がするぞwwww
 いつもどのシーンを書こうか迷って適当に選んでたんだけど、そうか。
 一番見せ場のシーンを書いたほうがいいんだねφ(..)メモメモ
 次の「軽井沢」では気をつけるぞ…(`・ω・´)
 でも設定は面白いって言われた(*´ω`)ヨカタ


-2012.02.23-