五回目きたね、きちゃったよコレ。
 今回は鏡とうことでね、ええ。
 鏡にも過去が秘められていそうですね的な?
 感じで?
 ちなみに本物の鏡じゃなくてもいいそうです。
 最初はやっぱり手鏡や姿見を想像したんですが、ありきたりじゃないですか。
 なので俺、考えたわけです。
 つか鏡って、どんなのがあるよ、何処にあるよ。
 そう考えると、案外色んな場所にありますね。
 部屋で姿見、化粧でコンパクト、電車の窓(あれよく写るよね)、道路だとカーブミラー、車でサイド・バックミラー・家の洗面所、出先のトイレ、お店で試着室、ショーウィンドウ(あれも不意に自分が写って嫌な気分になる)etc.
 携帯の画面電源落ちてる状態でも映るしね。
 ということで、俺はこの中から車のバックミラーを選んでみました!





 Back? Or not?

< 人 物 >

岡田貴之(38)
羽柴千年(32)貴之の同僚
中野夕 (27)貴之の同僚
岡田貴子(35)貴之の妻
岡田一樹(13)   長男
岡田二枝(10)   長女
岡田三葉(6)   次女



○社内
   岡田貴之(38)、自分のデスクで頬杖をつきながらパソコンでゲームしてる。
   中野夕(27)、段ボール箱を抱えて入ってくる。
   羽柴千年(32)、メモをとりながら電話の応対をしている。
夕「先輩、頼んでたの届きましたよ」
貴之「何か頼んでたっけ?」
夕「これですよ。送料タダにするために一緒に買ったじゃないですか」
   夕、箱からバックミラーを取り出す。
貴之「あー。よく見えるようになるやつ」
夕「そうそう。あ、羽柴さんも」
   千年、電話を終えてくる。
千年「もう来たの? 早いねー」
夕「えぇと、羽柴さんはピンクだったよね。これが俺で、こっちが先輩のっと」
   千年、貴之と自分のミラーを見て、こっそり嬉しそうに笑う。
   貴之、使い方が分からず裏を見たりしてる。
千年「これどうやって使えばいいの?」
夕「今あるミラーに挟み込むだけでいいはず」
   貴之、それを聞きながら密かに頷く。
   
○貴之の車内(夕)
   貴之、言われた通りバックミラーを取り付ける。
貴之「おお…横の方までよく見える」
   エンジンを付ける。
   時計『17:46』
   バックで車を出す。
   時計『17:45』
   
○岡田家・リビング
   岡田一樹(13)、岡田二枝(10)とゲームをしている。
   岡田貴子(35)、スーツ姿でスーパーの袋を持って帰ってくる。
貴子「一樹ー、ちょっと手伝ってー」
一樹「今忙しいから無理ー」
貴子「二枝」
二枝「むり~」
貴子「ったく」
   岡田三葉(6)、リビングに来る。
三葉「おかえり」
貴子「ただいま。三葉、袋から買ってきたの出しといてくれる?」
三葉「うん」
   貴之、帰宅。
貴之「ただいまー」
貴子「おかえり。ごめん、お風呂やっといてくれないかな」
貴之「…うん、分かった」
   
○同・浴室
   黙々と浴槽を洗う貴之。
   
○同・リビング(夜)
   貴子、頭にバスタオルを巻いて冷蔵庫からビールを取り出す。封を開けて、ごくごくと飲み干す。
貴子「あー、うまいっ」
   貴之、枝豆を食べながらそれを見てる。
貴之「またそんな一気に飲んで」
貴子「これやんないとやってられないわよ」
   枝豆を食べながら、ビールを飲む貴子。
貴之「この間みたいになってもしらないよ?」
貴子「大丈夫。それよりさぁ、ちょっと聞いてくれる? 今日入った子が使えなくってさぁ。機械苦手なのは仕方ないけどさ、コピーくらいまともに―――」
   貴之、笑顔のまま話を聞いてる。
   ×   ×   ×
   貴子、机に突っ伏して爆睡してる。
貴之「…だから言ったのに」
   貴子の腕を自分の首に回して、なんとか運び出す。
   
○社内(朝)
   千年、社員にお茶出ししてる。自分の机から一口チョコを取り出して、コーヒーと一緒に貴之に渡す。
   夕、バタバタと走って入ってくる。
夕「先輩先輩!」
貴之「どしたの。朝から元気ねぇ」
夕「昨日のミラー、どうでした!? 変な事ありませんでした?!」
貴之「変な事? んー…」
夕「羽柴さんは?」
千年「特には…。あ、でも後ろからくる自転車とかよく見えて、凄く便利」
夕「あれぇ…っかしいなぁ。僕だけなのかなぁ…」
貴之「どうしたの」
夕「いや…その……(言いにくそうに)笑いません?」
貴之「? 笑わないよ。なぁ?」
千年「ええ」
夕「実は………時間が、戻ったんで」
千年「え?」
貴之「は?」
夕「あ、信じてないでしょ! 本当なんですって。昨日飲みに行った帰り、車だそうと思ってバックしてたら、時計あるじゃないですか。車についてるやつ。アレがね、11時13分だったのが11分に戻ったんです!」
   貴之、千年、お互いに顔を見合わせる。
貴之「(大笑いしながら)おま、それ、ははっ。気のせいだって」
千年「(笑いながら)そうよ、お酒飲み過ぎたんじゃない?」
夕「うわ、笑わないって言ったのに。本当ですってば」
貴之「それかほら、時計が壊れたとか」
夕「そんなんじゃないですって。ちょ、二人共来てください」
   夕、貴之と千年を連れ出す。
   
○駐車場
   弁当屋のトラックが通りすぎる。
   トラック『アライグマキッチン』
   夕・貴之・千年、車に乗り込む。
   
○夕の車内
   夕、運転席に座りエンジンをかける。
   助手席に貴之、後ろに千年。
夕「いいですか」
   時計『9:30』
夕「今ちょうど9時半。先輩の時計は?」
   貴之、腕時計を確認して
貴之「9時半だ」
   千年、携帯を見ながら
千年「こっちも。時間はあってるわね」
夕「よし」
   夕、ぎゅっとハンドルを握りしめる。
夕「ちゃんと時計見てて下さいね」
   2m程、車をバックさせる。
   時計『9:30』
   時計『9:29』
   アライグマキッチンのトラックがバックで戻っていく。
貴之「えええええええ」
千年「うそー!」
   夕、車を止めて
夕「でしょ?! ほらー!」
貴之「ちょ、待って待って」
   楽しそうに腕時計を確認して、
貴之「戻ってるー!」
   アライグマキッチンのトラックが通りすぎてく。
夕「だから言ったじゃないですか」
   千年、ウキウキしながら、
千年「えーどうしてー? おもしろーい」
夕「僕、昨日ちょっと試してみたんですけど」
   購入したバックミラーを外す。
夕「いきますよ?」
   夕、車を2m程バックさせる。
   時計『9:30』
千年「あれ?」
貴之「変わらないね」
夕「そうなんですよ。昨日何回か試してみた結果、このバックミラーを付けてる時だけ時間が戻るみたいなんです」
貴之「ホントに?」
千年「じゃあ、あたしのでも出来るかな」
夕「ちょっと試してみましょうよ」
   
○駐車場
   貴之・千年・夕、夕の車から千年の車に乗り換える。
   2m程バックして止まる。
   3人、貴之の車に乗り換える。
   2m程バックして止まる。
   ×  ×  ×
   3人とも興奮してる。
千年「凄い凄い!」
貴之「俺の車でもできちゃったよ!」
夕「ねっ、すごいっしょ!?」
貴之「え、どうする? これどうする?」
   千年、ぼそっと
千年「これがあれば今まで間に合わなかった夕方のタイムセールも…!」
夕「…羽柴さんって意外と―――」
   千年、パッと夕の口を塞いで、にっこり笑う。
   夕、千年を見つめてゆっくり頷く。
   貴之、興奮しすぎて聞いてない。
貴之「やっばい俺コレどうやって使おう。ええっ、夢広がりすぎてもう訳わっかんない」
   
○川本商事・前
   貴之の車が猛スピードで通り過ぎ、バックで戻ってきて駐車する。
   慌ただしく車から降り川本商事に足を向けるが、バタバタと車に戻ってサイドミラーで身なりと呼吸を整える。
貴之「…よし」
   ビシッと川本商事に入っていく。





<講評>(先生が達筆な為、解読しながら書いてます(´・ω・))

 時刻がちょこっと戻る不思議なバックミラー。
 戻るなら同時に背景も戻るのではないか。
 例えば1年前の夫婦げんかの時に。
 もっと時刻を戻して、主人公が大変困った状況、例えば「川本商事 契約失敗事件」に戻し、名誉挽回のチャンスが来るとか。
 話やテーマをより面白くしましょう。

 バックミラーを付けると時間(刻)が戻るというアイディアは面白い。
 もっと過去に戻り、主人公を大活躍させて欲しい。





とりあえず今回は、シーンを端折って全体を書いてしまわないように心がけてみた。
一応設定としては「数分~数時間までしか戻れない」っていう感じで書いてたんだけど、それじゃ山が小さくなっちゃうんだろうねwww
この講評を見るにwwwwwwww
どうも俺は平凡な話を書きたがってしまうから、どうしても山が小さくなるんだよね。
契約失敗はベタかなーと思ってやめたんだが…。
この話は進めてくと夫婦喧嘩が勃発して、それを収める為にミラーを…っていう感じなんだけど、話の頭から書いちゃうからわからんわな。
うーん。
次の課題では山場の手前から山場を書いてみるか。
山はできるだけ大きく、ね。


-2012.12.06-