とある所で 「上記画像を左から順番を変えずに、イメージしたものを書いてください」 というお題を頂きました。 企画が凍結したようなので公開します(・ω・) |
||
ひまわり家族 「ねぇねぇ、全部ひまわりの場所があるってホント?」 妹のユリがキラキラと目を輝かせそう言った。 彼女を膝の上に乗せると、石鹸と汗と体臭の混じる何とも言えない生暖かい匂いが鼻をくすぐった。 「あー、あるね」 「ユリ見てみたい」 ―――ガクンという衝撃で目が覚めた。 ひんやりとした風を感じて車内を見渡すと、私達しかいなかった。 タタンタタン、タタンタタン―――。 夕日差す単線に小気味の良い音が響く。 隣を見ると、目を瞑った少女は起きる気配がない。 繋いだ手は軟らかく、ひんやりと冷たくて心地が良かった。 『次は〜向日葵之駅ー、向日葵之駅ー』 駅のすぐ裏手にはヒマワリ畑がある。 さわさわと揺れ、光を受け、穢れを知らない祭壇のように輝いている。 「ユリ、着いたよ」 「……」 少女を背中に抱き、そっと祭壇に足を踏み入れた。 どこもかしこもヒマワリだらけ。 私は適当な隙間を探し、そこにユリを優しく下ろした。 ワンピースの裾がめくれ上がり、丸い関節があらわになる。 「ユリ」 風が止み、湿気を含んだ空気が動かなくなった。 じわりと汗が滲み出る。 「着いたよ、もう起きないと」 私はそれを丁寧に直してから、小さな狂気を取り出した。 ギザギザとぬらぬらと光るそれで、レジンキャストの艷やかな腕とユリの軟らかく可愛らしい手を丁寧に切り離す。 小さくなったユリはころんと土の上に転がった。 「ユリ、ひまわりだよ」 「大好きだもんね」 ぽっかり空いた土の上に小さなユリを置き、小さな種をその手に握らせる。 「ほうら。嬉しい?」 「そう、良かった」 隣に生える一際大きなひまわりが私達を見下ろしていた。 「父さんも一緒だからね」 「母さんも」 びゅうっ風が鳴いた。 一面のひまわりが笑っているかのように揺れている。 その景色を見て、私はほくそ笑む。 「みんなもいるから、寂しくないよ」 -end- |
||