*クリスマス*
 THEINTERVIEWS 「300字小説」 グループインタビューにて --- 2012.12.20 [299字]



「来られても困るのよ。あんたの年齢じゃ店に居られないの。あ、ちょっとタクシー!」
 水商売の女が声を荒げタクシーを止めた。
「お釣りいいから、この子この住所まで。いい? 家で大人しく寝てるのよ?」
 乗り込んだ少年は終始俯いていた。どうやら追い返されたらしい。
「僕、いくつだい」
 喋る気分ではなかった。
「ちょっと寄り道しようか。大丈夫かな?」
 少年は憂鬱な気持ちのまま少しだけ顔を上げた。と、赤色が目に入った。運転手の男は赤い三角形の帽子をかぶっている。まるで白ひげでも生やしていそうな…。少年はゆっくり頷くと、運転手は小さな公園に向かった。公園の暗がりには大きなトナカイが2頭、足を鳴らして待っていた。


-fin-