*ヒーローの意外な一面*
 THEINTERVIEWS 「300字小説」 グループインタビューにて --- 2012-08-21 [300字]



 チカチカと不規則に点滅している店の看板が目立ち始めた。ここは空気の淀んだ高架下。あっという間に陽は落ち、年季の入った屋台のラーメン屋にも提灯が灯った。
「やってる?」
 疲れた顔をした男性が一人、重い腰をゆっくり下ろした。くすんだ黄色いマントが邪魔そうだ。
「これ、もう食べれるの?」
「ええ。なんにします?」
「じゃあ大根と卵。あとちくわぶ」
 グツグツと美味しそうな音を立てている。おでんを摘みながらラーメンが出来るのを待つ。何も言わなくても日本酒が出てくる辺り、常連なのだろう。
「しっかしアンタも大変だよなぁ」
「仕事ですから」
「そうじゃなくてさァ。その成り、またカミさんに逃げられたんだろう」
「あ…えぇ」


-fin-